遠雷

見た映画の感想など

ペンタゴンペーパー感想。

言いたいところと見せたいところが明朗闊達な映画だったので、スッキリしたなーーー!という感じ。
世界の巨匠にこんなこと言うの大変おこがましいんですけど、ビジネス書みたいな映画だったな……いや、あの、悪い意味とかじゃなく、方向性と言いたいことが一貫してるから、視聴者として、とても安心して見えたという意味で。
情報の取捨選択が上手いから、残すべきエピソードをグッと絞り込んでるんだろうなって感じ。紋切り口調というか。

 

テーマとしてもう少し詳しく言及してくれているブログを読んだんですが(見失って引用できない)、女性差別の視点から見たらもう少ししんどいのかもしれない。
彼女の努力と決意の重さに気づいたのが、ベンの奥さんであることと、それを彼女に言われるまで気づかなかった彼の姿がすごくリアルだなと思って唸りました。押さえつけられることのない立場にいる人って、時々驚くぐらい踏まれている人に鈍感で、彼もきっとそうだったんだろうな。彼が特別悪いとかじゃなくて、階段の上にいる人って段差が見えないんですよね。上から見たら全部平らだから。

 

個人的に、決断が下されて輪転機が回り始めるところで涙が溢れて止まりませんでしたね……。これは報道の自由に感化されたというよりは、311の東北の印刷が回り始めた時とものすごくダブったからなんですけども……。日本の出版業界の命綱とアメリカの報道の自由と、届かなければという信念が動かす光が恐ろしく美しく見えて、ああ怖いなと身震いしました……。
美しく見えるとそのまま退廃まで転がるのがすぐな気がするのは、行き過ぎた感傷だと思いたい。

自らが奉ずるもののために誠実であろうとすることの難しさが胸にくる映画でした。失敗もするけれど、いつでも最善を尽くすように頑張れって、勇気が出る言葉ですよね……ちょっとしんどいけど。
席を2つ挟んで、同じように鼻をすすっていたお姉さんと勝手に連帯感を感じてました。いい映画だったな。